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ボストン留学記


ケネディスクール留学を終えた筆者が新しい挑戦を始めます。
by shinya_fujimura
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第398号 私見・ハーバードのブランド経営

ニューヨークからの帰りの飛行機のなかで考えました。
私はハーバードで一体何を学んだのでしょう。

ケネディスクールの卒業式。ある人がこんなことを言っていました。
ハーバードの秘密は、私たちだけにとっておきましょうね

Secrets of Harvard

どこかで聞いたことのあった言葉です。
しかし、「何が秘密なのか?」までは皆目見当付きません。

たぶん、「秘密」の内容は画一的ではありません。
各人それぞれの立場でいろんなことを学んだでしょう。
今日はそのことについて書いてみたいと思います。
(以下、すべて私見です)

私がふと気づいたのは、学業以外でいろんなことを学んだという点です。
その第一は、ハーバードという大学の経営についてです。
ある人はハーバードはアメリカ最大の非営利組織とも言います。
その経営術には目を見張るものがありました。

① ハーバード・コミュニティの醸成

まず第一に、ハーバード・コミュニティというものに対する意識。それは先に挙げた「ハーバードの秘密」という言葉にも表されているように思います。MITやスタンフォードがインターネットの流れに乗って授業の公開を進めているのに対し、ハーバードはマイケル・サンデル教授の授業を除いて、基本的に授業は公開していないようです。そのことによってコミュニティ、すなわち「仲間意識」を高めようとしているようにすら思えます。

また、先にも紹介しましたとおり、同窓生の交流も盛んなようです。卒業式は5月末だったのですが、同窓会の案内はすでに4月上旬に送られてきていました。「なんて気が早いんだ」と思ったものです。同窓生同士の交流を深める場も多く設定されているようです。

そして極めつけが、サマープログラムのときに聞かされた言葉。
“Harvard will bet on you.” 「ハーバードはあなたに賭ける」
私にとっては、何よりこの言葉が仲間意識を高めてくれました。

このようなコミュニティの醸成は学生の満足度を高め、また同窓生同士の助け合いへとつながることでしょう。私が通った日本の某大学ではなかったことです。(最近は多少変化が見られますが)

② ブランド・マネジメントと商業主義

ハーバードの経営という観点から次に目立ったのがブランド・マネジメント。ハーバードは自らのブランドを意識的に活用しているように思えます。その最たるものが世界中から人材を集めること。また人材だけにとどまりません。資金も集まってきます。ハーバードは学費が高いとはいえ、それだけのお金をかけた教育を行なっており、あくまで非営利組織として寄付を集めることは不可欠と言えます。

一方で、過剰に寄付を集めることに集中しすぎている節も見られます。「寄付を集めるためにはこういうプログラムを行うべきだ」という理由付けの多さに辟易したという学生もいました。何が正しいかはわかりません。しかし寄付が重要視されているとは言えそうです。

また、流行に対しても敏感な面があります。ヘルスケアや中国、社会起業など流行りの分野には飛びつきます。もちろんそれは学生からもニーズがあるからでしょうが、流行の分野ですぐに教員を集めてこられるのも、ハーバードならではかもしれません。

③ ハーバードのミッション

卒業式のとき、何度も耳にした言葉があります。それは
Ready to serve society --- 社会に貢献する準備が整った
という言葉であり、これは学位授与の際に授けられた言葉です。
すなわち学位とは社会貢献の資格 そう言いうるかもしれません。

このような経験から、私はハーバードの教育のミッションは社会に役立つ人間を育てることにあるのではないかと思うに至りました。

なんだそれ、当たり前じゃないか

そう思われるかもしれません。しかしいまの日本の現状はどうでしょうか。

このことは、学部4年生の答辞にも見て取れました。
From Knowledge to Wisdom to Service to a Just and Flourishing World
知識を知恵に変え、それを行動に移し、社会正義と繁栄の実現に貢献する

ハーバードで学ぶことのひとつは、そういうことなのです。

ハーバードの3つの秘密

そんなことを考えながら、ニューヨークから東京への長旅を過ごしていました。

(続く)

by shinya_fujimura | 2011-06-12 21:34 | ケネディスクールでの生活
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