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ある人がこういう指摘をしていました。
サンデル教授の思想は、Communitarianism (共同体主義) と呼ばれている。Liberalism (自由主義) の個人主義的な発想とは異なり、共同体主義はコミュニティの価値観を重視する。そのあたりが、サンデル教授が日本で広く受け入れられている理由であろう。 なるほど。非常にわかりやすい説明です。たしかに日本ではアメリカ的個人主義を批判する人は多いように思います。それに対して、日本人固有の価値観を大切にしよう、そういう人も多いのではないでしょうか。 震災直後の日本人秩序だった行動は、欧米で称賛されています。その特徴は、まさに個人主義よりも共同体主義にあると言えるかもしれません。みんなで「がんばろう」と励ましあいながら、個人のわがままは封じ込めるからです。私自身もそのような日本人の美徳に誇りを感じます。 おそらくこのような行動は、サンデル教授にも称賛されるものかもしれません。まさにコミュニティの極致とも言うべきものですから。 しかし一方でサンデル教授を「共同体主義者」と称することにはいささかの誤解があるようです。私は先日政治哲学の教授とミーティングを持ったのですが、そのときにこんな疑問をぶつけてみました。 「サンデル教授は共同体主義者と呼ばれているらしいですが、自由主義とは何が違うんですか?」 教授の答えは以下のようなものでした。 「なにも違わないさ。サンデル教授だって自由主義を否定しているわけではない。自由主義者もサンデル教授が言うようなコミュニティの大切さを否定しているわけではない。むしろコミュニティの結びつきをサポートしている。だからサンデル教授だって立派な自由主義者だ」 「おそらくそのような誤解は政治と道徳・倫理の混同に端を発している。自由主義者は、あくまで国家が個人の自由を否定すること(政治による強制)を批判しているだけであり、コミュニティとしてどのような道徳・倫理を持つかということは国家によって規制されるべきではないと言っている。コミュニティが独自の道徳・倫理を持ち、それを主体的に推進していくことは、むしろ自由主義のあるべき姿だ」 まさにその通りです。自由主義=個人主義の道徳・倫理と誤解されがちですが、実はそこがポイントではありません。ポイントは、あくまで「国家」との関係にあります。「国家」が特定の道徳・倫理を強制することは、権利の侵害だということのようです。 そういった考えからすれば、サンデル教授は紛れもない、「自由主義者」と言えるのではないでしょうか。
by shinya_fujimura
| 2011-04-02 12:21
| ケネディスクールでの学び
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