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では、中国が「世界の工場」でなくなってしまった場合、何が起こるのだろう。これが2つめの素朴な疑問だ。
中国は「世界の工場」から「世界の市場」へ転じつつあるとの声もよく聞かれる。それは否定できない。実際にIMFは2014年には中国が日本を抜いて世界第2位の消費市場に成長すると予測している(週刊ダイヤモンド2010/06/19)。自動車新車販売台数等、すでに中国が世界一の市場になっているものもある。むしろ疑問があるのは、工場がなくなってしまったら仕事がなくなるわけで、失業者が増えてしまった状況で「世界の市場」としての購買力を保ち続けることができるのだろうかということ。すなわち、日本と同じような産業の空洞化が起こってもなお、中国が「世界の市場」として世界経済をけん引できるのだろうかということだ。 この疑問に対する一応の回答は、少なくとも2つ考えられる。 1つは農村からの労働力の供給を増やすこと(その反面として賃金は上昇せず貧困問題は解決しにくいが)により、「世界の工場」たる地位を生き永らえさせ、雇用を確保することにより、「世界の市場」としての地位をも確保できるという考え方だ。ただ、これはあくまで応急措置だろう。しかも、これを可能にするためには農村の生産性を上げて余剰労働力を作り出す必要があるが、そのために中国政府が計画した改革はとん挫しているらしい(日経新聞朝刊6月21日付参照)。 そうなるとやはり根本的な解決としては、よく言われているように「産業の高度化」を迅速に進めるほかはない。すなわち賃金が上昇してもそれを上回る付加価値を生み出す産業を中国に根付かせることが必要と言うことだ。これに関してはいまのところ方策が不十分とは言えないだろう。実際、中国の大学生の就職難は大きな問題となっている。高付加価値を担うべき人材の働く場所がないということだ。 以上を踏まえれば、私の素朴な疑問は、中国経済は「ルイスの転換点」を迎えるまでに「産業の高度化」を達成することができるかどうかという問題に集約される。それができなければ中国が「世界の市場」として世界経済をけん引する状態も、いつまで続くか定かではない。そのとき中国以外に世界経済のけん引力が存在しなければ、世界経済もまた、、、。杞憂に終わればいいのだが。
by shinya_fujimura
| 2010-06-28 22:25
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