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「時流」の2つめの意味は、小泉自民と鳩山民主の対立だ。
小泉政権の政治信条は、新自由主義と呼ばれる。構造改革を推進し、規制を緩和し、郵政も民営化。市場原理主義とも呼ばれる。 ところが、昨今のリーマンショックの影響もあり、この新自由主義が世界的に批判にさらされることになった。行きすぎた市場原理主義は金融機関の暴走を呼び、サブプライムローンによる資金供給が立ちいかなくなったことで、アメリカの消費市場は危機にさらされる。それがアメリカへの輸出に頼る日本企業をもダイレクトに直撃。そのインパクトは国内企業にも波及。製造業による派遣切りが社会問題化した。その原因は新自由主義にあると言う。かくして、小泉政権の改革は批判の矢面に立たされることになった。 (私はこのような見解に対して批判的な見解を有するが、その件に関しては、また別の記事に譲ることとする) これに対して登場したのが鳩山政権による友愛政策。小泉政権と対比すれば、その政策は福祉の充実による「大きな政府」に向かうものとも言われる。 従来のインフラ投資型公共事業とは一線を画そうとしたものの、子ども手当、郵政再国有化・総正社員化など、福祉国家的政策が見られる。加えて製造業派遣の原則禁止や最低時給1000円といった政策は、小泉政権に対抗し、明確に新自由主義を批判したものと言える。 一方で、事業仕分けは行ったものの、十分な財源が確保できるのか疑問視されている。子ども手当に関しても、直接の受益者である30代子育て層からも、「将来子どもたちに借金を背負わせるだけになるのなら、ないほうが良いのでは?」という声が聞かれたりする。財源不安、将来世代への責任なすりつけに対する批判がある。最近では消費税増税が現実味を帯びてきた。これも「大きな政府」化を促進しかねない。 小泉政権の新自由主義と鳩山政権の福祉主義 これらの対立構図は、実は1970年代にアメリカで巻き起こった政治哲学界論争の焼き直しだ。新自由主義は、Libertarianism(リバタリアニズム=自由至上主義)と呼ばれ、ノージックを中心的論者とする。ノージック他自由至上主義者たちは、パターナリスティック(家父長的)な福祉国家による私人への強制的介入が、個人の国家への依存を招き、家族や地域といったコミュニティの友愛・相互扶助精神を失わせたと批判した。実は新自由主義の思想も「友愛」を復活させようとしていたことは興味深い。 新自由主義と福祉主義は、ある意味両極端の思想だ。両極端が登場すると、その間はないのか?という発想になる。実はその中間に位置する思想の一つが Communitarianism(共同体主義)であり、その中心的論者の一人が、何を隠そう、マイケル・サンデル教授なのだ。 したがって、実はサンデル教授の授業は、小泉政治と鳩山政治の反省の結果とも言いうる。NHKの番組制作者の方々が明確にそう意図していたかはわからない。しかし、潜在意識的に何かを感じ取ったのではないだろうか。それは私たちにも言えることだ。潜在的に、サンデル教授の思想が「次に進むべき道」を示していることを、感じ取っているのかもしれない。 この共同体主義、日本人の伝統的思想とも親和性を有しているように思える。この件に関しても、追々書いていきたいと思っている。 (本記事に関するコメント、ご質問は大歓迎です!)
by shinya_fujimura
| 2010-06-05 11:56
| 多事奏論
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