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ボストン留学記


ケネディスクール留学を終えた筆者が新しい挑戦を始めます。
by shinya_fujimura
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オバマ大統領のテスト重視政策

今週後のEconomistに、こんな記事がありました。

No Child Left Behind
Testing Times


No Child Left Behind というのは、ブッシュ前大統領が10年前に打ち出した政策。その言葉の通り、どんな子どもも置いてけぼりにはしないという政策です。その具体的な意味合いは、2014年までに100%の子どもがその年齢に応じた適切な数学及び読解能力レベルを達成することを目指すというものでした。理念自体はすばらしいもので、おそらく反対する人は少ないでしょう。実際、制定当時は与野党問わず支持されたそうです。オバマ大統領もこの政策を引き継いでいます。

しかし、すばらしい理念も、いざ具体化しようとすると様々な問題が露見することがあります。例えばこの政策であれば、こんな疑問が生じます。

「適切なレベル」とはどうやって測るのでしょう?

測ろうとすると、何らかの数的指標が必要です。教育において数的指標とは、テストを意味します。すなわち、この政策は「テスト重視政策」と読みかえられがちなのです

また、どうすれば子どもたちのテストの点数が上がるかも、必ずしも明確ではありません。数学や読解の授業の時間を増やせば良いのでしょうか?先生の再教育をすれば良いのでしょうか?テストで良い点数を取ることに、何らかのインセンティブを付ければ良いのでしょうか?付けるとしたら、生徒に?先生に?親に?

政府、特にアメリカの場合連邦政府に出来ることは限られています。オバマ大統領は、成果を挙げている州に対して、補助金という金銭的インセンティブを与えるという政策をとっているようですが、悲しいかな、82%のアメリカの公立校は、2014年までに求められている水準を達成できない可能性があるそうです。また、要求水準を上げると逆にテストの点数が落ちるという結果になった州もあるようです。すなわち、「すべての子どもが十分な数学能力と読解能力を身に付けられるようにする」という、誰もが賛同しそうな理念。その理念の下の政策が空回りしているのです

Race to the Top
トップへの競争

それがオバマ大統領の方針であり、テスト重視の政策を生みだしました。その政策がいま、未達成となる危機に直面しています。Economistが、Testing Times と言っているのはそのことをかけているのでしょう。つまり、テスト重視政策自体が、テストの時期を迎えているということです

私たちが本当に達成したいことは何なのでしょうか?そのために有効な手段とは何なのでしょうか?

by shinya_fujimura | 2011-08-15 12:07 | 人づくり試論
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