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ボストン留学記


ケネディスクール留学を終えた筆者が新しい挑戦を始めます。
by shinya_fujimura
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第348号 私は「天罰」と言われたことを忘れない

こんなツイートがさかんにリツイートされていました。

(以下、引用)
被災地より,東京都民の皆さんへ。私は,「天罰」と言われたことを忘れない。「原発推進」と言われたことを忘れない。震災から丸一ヶ月が経ったこの日の,東京都民の皆さんの選択を,私は,決して忘れない。
(以上、引用)

衝撃的なコメントです。昨日東京都知事選が行われました。結果は石原都知事(現職)の圧勝。その結果を受けてのこのコメントです。

誰が書いたのか、本名までは分かりません。いやこの際、誰が書いたかはどうでもよいでしょう。きっと誰かはこう思っているに違いありませんから

人間、なかなか他人の立場に身を置いて考えることはできないものです。東京にいて、停電の不都合を知ってしまった人間には原子力発電所の必要性が身にしみて感じられたかもしれません。ただし、自分の家の近くに原子力発電所が建てられることまで許容しようという勇気があるかどうかまでは、定かではありません。

ただ一つ確実に言えるのは、私たちは原子力発電の問題と真剣に向き合ってこなかったのではないかということです。今回の一件で、私たちの放射能に関する知識がいかに乏しいかということも明らかになりました。一時はパニックさえ起こりかけました。いまだにどうすれば安心なのか、自信を持って言える人は少ないかもしれません。

私はボストンに来る前、ずっと東京に住んでいました。福島第一原発で作られた電気を買っていた一人です。そのことを前提に考えるならば、原発廃止を訴えるなら、まずはこの夏冷房なしで過ごして見せるくらいの行動が必要でしょう。ただこれを安易に捉えると、「そんなの無理だから、やっぱり原子力発電はこれからも必要だ」という考えに傾きかねません。そうすると、冒頭に挙げた叫びを発した方のような、痛烈な批判を浴びることになります。

当事者として考えるということは、こうした矛盾をはらんでいます。すなわち一カ所において当事者たらんとすればするほど、他の場所においては当事者からかけ離れていくということです

私たちは、真剣に対話を始めるしかないのかもしれません。

by shinya_fujimura | 2011-04-11 12:43 | 多事奏論
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